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うようなご疑念があるかもわかりませんが、これはやはり1つ1つつぶしていかないことには、実際にオリジナルの制作実務はできないのではないかというふうに思っています。
文言を一字一句読んでいっても仕方がございませんので、とりあえず簡略な行き方で説明をして参ります。多少、我々の演劇界の用語を使っておりますので、この言葉の意味は何ぞやということがございましたら、どうぞご遠慮なくご質問をしてくださいませ。例えば演目を決定する、演目とは何ぞやと、こういうようなことでございますね。
これは実際に、シェークスピアの「ハムレット」なら「ハムレット」をやる。あるいはミュージカルの「マイ・フェア・レディ」なら「マイ・フェア・レディ」をやる。こういうことを決めてスタッフを選ぶ、キャストを選ぶ、出演交渉をする。当然のことなんです。こういう13項目ぐらいの実務をずっとしていけば初日があくだろう。もちろん、初日があいて万々歳ではなくて、千秋楽が終わりまして病人の1人も出ず、あるいは休演者も出ず、無事に幕をおろすまでがプロデューサーの責任でございます。途中でけが人が出たりして代役にすりかえるとか、あるいは病人が出たとか。もちろん、ミュージカルなんかの場合は声帯がいかれて声が出ない、のどのお医者さんを呼ぶというようなこともしょっちゅうございますけれども、そういうことのトラブルにも対処していく。あるいは、生身の人間同士の舞台でございますので、演出家に怒られて震え上がってパニックになる若い役者も出ますれば、女優同士が角突き合わせてけんかをする、楽屋の扱いが悪いからどうのこうのとか、いろいろ雑多なものがたくさん出てまいります。そういうものを一々書いておりますと切りがございませんので、そういうものはケース・バイ・ケースということでございます。
演目を決定するというのは、これはなかなか簡単なようで難しい。何をやったらいいのかということを、こういうホールの方々であれ、我々民間であれ、企画会議というような会議がございまして、そこでプロデューサーが自分が立ち上げたい仕事の企画案を出すわけです。そこで、最近のプロデューサーは簡単な企画書ぐらいは書けなくてはできませんので、こういうねらいでこういうものを、外国の作品なら上演権はとりやすそうだとか、あるいはこの役者がこういうものをやりたがっているなどの情報、あるいは人脈から出てきたものでまず演目を決定します。じゃ、それを予算的にどれぐらいの規模でやるか、1ステージ幾らでつくるんだみたいな話を並行して試算をします。
この試算をするというのがなかなか難しいかもわかりません。Aという女優のギャラが相場的に幾らなのかというのは、ある程度専門的な経験を要するかと思います。もちろん

 

 

 

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